2009年01月30日

サマータイムマシン・ブルース

2005年/日
監督:本広克行
原作:上田誠
主演:瑛太/上野樹里/佐々木蔵之介/川岡大次郎 他


「タイムマシンの無駄遣い」
史上最多、18回のタイムスリップ〜昨日と今日だけの、タイムトラベル〜

 夏の蒸し暑〜い日。SFが何の略かすら知らないSF研究会(笑)は、のんべんだらりと野球をして暇を持て余していた。
 野球を終えて部室に戻り、暑さと気だるさで、イライラして部員と言い争いになる。大暴れてをしていたら‥‥クーラーのリモコンに、コーラがドボドボ〜ッとぶっかかってしまったどんっ(衝撃)
「クーラーがー!」「リモコンがー!」と叫んでも、後の祭り。リモコンは壊れてしまったふらふら
 猛暑の中、部員らは部室にこもり、こんなに暑いのに‥‥クーラーは目の前にあるのに‥‥肝心のリモコンが無いという事実に絶望し、動く気力すらも失ってしまう。 

 そんな時‥‥部室に、ある装置が突如出現した。どこかで見たような装置──そうそう、まるでSFで観るタイムマシンみたいだ‥‥。
「そう言えば‥‥」。部室に既に誰か居たような‥‥。何か変な事言ってたし、もしかしてヤツは未来人だったのか?

 部員達は、「これってもしかしてタイムマシンってヤツだったりして〜」と笑い、ふざけながらも曽我を装置に乗せ、レッツゴーるんるん。レバーを引いたら、装置が動き出した。「おっ本格的〜」とはしゃいでいたが、装置と共に部員が消えてしまい‥‥一同は青ざめて固まってしまう。
 しかし、直後に曽我が戻ってきた。その部員は──『昨日に行っていた』と言う。
 部員らは、「ふざけんなよお前!」と詰め寄るが、写真部の女性2人が大慌てで持ってきた写真を見て驚いた。
 今日の服を着た曽我が、昨日撮った写真に写っていたのだ。初めて、この装置が本物であり、あの『タイムマシン』だと知り‥‥‥‥部員は興奮してしまう。

いつの時代に行く?ジュラ紀?白亜紀?──それとも戦国時代?盛り上がる部員達。
 しかし、「昔に行き過ぎて、戻ってこれなかったらどうする?」と、案外弱気だったりする。
 どの時代に行こうかと、皆はそれぞれ案を出すが、なかなか意見がまとまらない。すると‥‥「昨日に行って、壊れる前のクーラーのリモコンを取ってくるってのはどう?」と、実に‥‥実にくだらな〜い案が出たたらーっ(汗)
しかし──。「それは名案だ!これで暑さともおさらばだ」と、皆は賛成し、タイムマシンで昨日に行くこととなった。

 猫に小判とは、まさにこのことだ。SF研究会なのに‥‥。この愛すべき、おバカ大学生(笑)。
タイムマシーンを手に入れても、そんなしょうもない目的に使うなんて‥‥。
 タイムスリップ回数は、タイムトラベル物では最多の18回。しかし、使い方があまりにショボイ。

 『壊れる前の“昨日のリモコン”を今日に持ってくる』というだけの、些細な行為。
 しかし‥‥リモコンを持って帰ってくるのに成功した時点で、時間軸が狂い、時間という概念が消え、全てが消えてしまうと叫び、警告する者がいた。
それは──穂積教授だった。
 
「過去を変えたら矛盾が生まれる。その矛盾が矛盾を呼んで、時間は消滅してしまう」

 過去を変えたら矛盾が生まれる。これを学説的に『タイムパラドックス』と呼ばれます。
 この作品では、タイムパラドックスを『自分殺し』で説明されていますが、学説的には、『親殺しのパラドックス』として通っているようです。
 過去に行って親を殺す → 親が死ねば、子の自分は誕生しない → 未来の世界に自分は存在しない。自分が存在しないならば、過去に行って親を殺した『自分』は‥‥誰──!?矛盾ですよね(笑)。
 このタイムパラドックス論は極端な例。では、極端じゃなければ過去は改変しても良いのか?というと、そうではない。どんな些細な事であっても、改変してはならない。
『北京でチョウチョがはばたけば、ニューヨークに雨が降る』は、バタフライ・カオス理論。
『1羽のチョウチョの羽ばたきによって起こる風は些細だが、その風の振動はやがて、大きな流動となり、嵐となって遠方の地に襲い来る』
 因みに、もし過去が改変出来たとしたら‥‥「過去が改変出来るのならば、私達は、何を以って歴史と呼べばいいのだ?」by某学者。

 全てが消滅すると知らされた甲本達。急いで過去に行き、変えてしまった過去を更に変え、つじつま合わせをする為に、猛暑の中、汗だくで走り回ることになる。

 このつじつまの合わせ方が、とても面白い。
 未来の描写については映画の序盤にあり、「なるほど!これはここに繋がるのか!」と、感動してまうのだ。
 この映画の宣伝の際、監督自ら、「映画の最初の40分は、ハッキリ言ってつまらないです」と言っていた。
 その真意は、最初の40分は“現在であり過去”。未来のSF研究会が過去を訪れ、つじつまあわせをしている真っ最中なのです。
 映画を再度観ると、未来の部員達が、せせこましく、後ろで動き回っているのが目に入る(笑)。
 その為、この映画は2回観る事を強くお勧めします。
 そして、スタッフのコメンタリーもあるので、2回目は是非コメンタリーも聞いて欲しいです。監督が、パラドックスをどのように練り、どの場面で未来の部員が過去に到着し、どう再改変しているのか、詳しく教えてくれます。
 尚、この映画の監督は、『踊る大捜査線』を手がけられた本広克行さんですので、『踊る〜』のキャラが出演したり、お遊びやギャグも満載です。

 洋画では、過去を変えれば矛盾が生じる「タイムパラッドクス」は常識的である為、タイムトラベルを扱う作品では、殆どの作品にパラドックスの要素が入れられています。
 逆に邦画は‥‥不思議なことですが、『分かっているけど、触れないのがお約束』みたいですね。
 バブルへGO!は、『過去を変える』というもので、ラストでは実際に問題なく改変されちゃったし。
 山下智久さんの「プロポーズ大作戦」も、パラドックスなんか知ったこっちゃない!というドラマでしたね(汗)。
 アニメの犬夜叉なんて、現代と戦国時代を行ったり来たりで、もう時間軸はクッシャクシャになってる筈(笑)。

因みに、この映画が公開されたとき、クーラーのリモコンを持って映画館に来場すると、割引きしてくれました(笑)。
posted by えみり at 17:05| Comment(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。