ソルト

2010年/米
監督:フィリップ・ノイス
脚本:カート・ウィマー/ブライアン・ヘルゲランド
主演:アンジェリーナ・ジョリー/リーヴ・シュレイバー/キウェテル・イジョフォー 他


2年前、北朝鮮でスパイとして捕まったCIAのイヴリン・ソルトは、捕虜交換で開放されることになった。
現在では結婚し、リンク石油世界本部(CIA)に勤めている。
結婚記念日に、ロシアの特務機関にいたというオレグ・ワシリエヴィチ・オルロフが亡命を希望している──として現れた。
オルロフは、冷戦時代に送り込まれたロシア人スパイによる、ロシア大統領の『暗殺計画』があると伝えた。
なんでも、アメリカを陥れるために、アメリカ副大統領の葬儀の日を狙ってロシア大統領を暗殺するのだそうだ。
そのロシアのスパイの名は”イヴリン・ソルト”だという。
尋問を担当していたソルトは驚き、「偶然ね。私の名前もイヴリン・ソルトよ」と呟く。オルロフは「じゃぁ、スパイはお前だ」と笑った(←酷い)。
同姓同名とはいえ、自分はロシアのスパイではないと断言するソルトだが、悲しくも職員は一斉にソルトに疑いの目を向けるのである。
このままでは、無実の罪を着せられて拘束されてしまう──と恐れたソルトは、オルロフがCIA職員を殺し逃亡した際に逃亡を図ってしまう。
でも、逃亡の仕方が‥‥。自作の爆発物で特殊部隊を叩きつけてドカーン!
いくら無実とはいえ、こんなことをしてしまえば、更に不信感を抱かせるだけでしょうに‥‥(-_-;)
ソルトが夫のマイクを心配して自宅に戻ると、既に夫の姿はなかった。
夫は誘拐された!ソルトは変装してニューヨーク副大統領の葬儀に潜入。そして──ロシア大統領を殺害してしまう。
『アメリカを陥れるため、アメリカ副大統領の葬儀の日を狙ってロシア大統領を暗殺する』。その者の名は“イヴリン・ソルト”。
「同姓同名なだけ。私はロシアのスパイではない」とあれほど叫んでいたソルトだったのに‥‥『スパイの“イヴリン・ソルト”』がするであろう行動』を自ら実行してしまったのである。

ソルトはその後、自分をスパイだと決めつけたオルロフに会うのですが‥‥2人は抱き合って再会を喜び合っている。
単なる同姓同名じゃなかった!やっぱり彼女こそがあの“イヴリン・ソルト”であった──!
ソルトは、オルロフから『スパイ教育』を受けた子供たちの“教え子”の1人だった。
仲間に歓迎されて喜ぶソルトだが‥‥彼女の愛する夫マイクが殺害されてしまい、沸々とした怒りが湧きあがった。
結局ソルトは、オルロフからスパイの指令を受け取った後、夫を殺された報復としてオルロフを殺してしまう。

終盤は、テッドは偽名で本名は『ニコライ・タルコフスキー』。実は彼もロシアのスパイだった──。
テッドの目的は、ミサイルを撃ってテヘランとメッカを攻撃し、そのイスラム教徒の怒りをアメリカに向けさせる──というものだった。
想定外のどんでん返しが起き、さらに“同志”だった筈のテッドをソルトは殺してしまう──という急展開になり、もはや誰が正しくて誰が悪なのか全く分からなくなってしまう。
ソルトはハメられたのか?首謀者なのか?それとも首謀者はテッドだったのか?そもそもテッドは何者だったのか‥‥?
考えれば考えるほど、作品はドロドロしたものになっていきます。

ラストでは、更にそれをもひっくり返すような出来事が起きるのです。
拘束されたソルトはヘリの中でCIAの同僚ウィリアムにこう言うのです。
「テッドはミサイルを発射しようとしていた。でも私はそれを止めた。私が救ったの。ロシア大統領も殺せたのに、私はあえて殺さなかった。それに‥‥あなたを撃つことができたのに。私はあえて撃たなかったのよ」

同僚のウィリアムは大混乱。テッドが正しい気もするが、テッドはスパイだった。となると、ソルトが正しい気もする。
グルグルと、敵になったり味方になったり。一瞬のうちに立場がすり替わってしまう異常な関係。
『ハラハラする映画』って、このことを言うんだろうな〜という緊迫感あふれる映画です。

とにかく、バッタバッタと人が容赦なく殺害されていく映画
アンジェリーナ・ジョリーのスタントなしの体を張った演技も凄いです(一歩間違えたら死ぬ!)。


挿入歌(紹介文については、歌が流れていた『場面』を指します)

In Paradisum from Requiem Op. 48 - Gabriel Faure
讃美歌
https://www.youtube.com/watch?v=K9JBG_r1lu4

女の子がヘッドフォンで聞いていた曲は、残念ながらYOUTUBEに載っておらず、
曲の確定ができなかった…。



THE WAVE ウェイヴ

2008年/独
監督:デニス・ガンゼル
原作:モートン・ルー
主演:ユルゲン・フォーゲル/マックス・リーメルト/フレデリック・ラウ 他


この作品は、1967年にアメリカで起きた事件を基にした実話である。

■月曜日
1週間の実習事業。ベンガー教師は、『独裁』の実習を担当することとなった。
本当は、やりたい分野(無政府主義)が他にあったのに‥‥と、渋々教室へ入ると、意外に生徒の数が多いことに驚いた。

『独裁』とは?ベンガーは生徒に質問をなげかける。
生徒は、ギリシャ語の“自ら治める”が語源であると答え、ベンガーは正解とした。
では、実際に起こった『独裁』の例といえば──? 生徒は『第三帝国』だと答えた。
※この映画の製作国はドイツ。ナチスや、ドイツが東西に分かれていた時代があっただけあって、クラスの議論は絶えない。一連の責任の所在を問う生徒に、ベンガーは興味深いと議論を盛り立てる。
『独裁』に必要なものは何か──? “指導者の存在”だと生徒は答えた。
ならば“指導者”に相応しい者は誰だ──? 生徒は、この実習を教えるベンガー教師だと答え‥‥ベンガーは「これより1週間の実習期間、私を“ベンガー様”と呼べ」と指示した。
生徒の中には勿論反対する者は現れたが、大半の生徒達は「皆が決めたことだ。従え」と窘めた。
他に『独裁』に必要なものは──? 生徒は“規律”と答えた。
1日目の授業は、そこで終わった。

■火曜日
ベンガーが教室に行くと、生徒達に「おはようございますベンガー様」と挨拶され、たじろいだ。
授業が始まると、ベンガーは生徒を立たせ、その場で足踏みをさせた。
左・右・左・右‥‥全員の足音が一致するまで何度も──。一致すれば、速度を速めて──。
これぞ“団結力”だと、ベンガーは生徒を称えた。
“団結力”に必要なものは何か──? 生徒は“制服”だと答えた。
ベンガーは、実習の期間だけ制服を取り入れようと、明日からは白いシャツにジーンズを着て来るよう指導した。
女生徒カロとモナは、「どうして服装を指定されないといけないの!?」と反発したが、他の生徒達に「決まりだ」と窘められた。

■水曜日
リーザが独裁の実習を辞めた。
カロが教室に入ると、クラス全員が白シャツにジーンズを着ていた。カロは気味悪がったが、他の生徒たちは逆に、「どうして白シャツにジーンズじゃないんだ」と腹を立てた。
放課後、ティムがいじめられていた。クラスメイトはティムを助け、何か遭ったら電話するようにと電話番号を教える。
白シャツにジーンズは“ベンガー様の生徒”の証である。

結束力が高まる中で、逆に彼らは、白シャツジーンズ以外の生徒を排除し始めた。
まず、ベンガー様の生徒でありながら制服を着てこないカロを退け、カロの兄弟を退け、他クラスメイトを退けていった──。

授業が進むにつれ、グループ名を作り、ロゴ、HP、腕章、タトゥーと、徐々にエスカレートしていく。
生徒達は既に、“ベンガー様”に支配されていた。

白シャツジーンズ。もはや独裁という実習の域を超え、他クラス、学年までをも超え、次第に収集がつかなくなっていった‥‥。

挿入歌(紹介文については、歌が流れていた『場面』を指します)

Rock 'n' Roll High School - EL*KE
http://www.youtube.com/watch?v=u90HqqHmSaA
OP ベンガーの車内でかかっていた曲

Bored - Ronda Ray featuring Markie J
http://www.youtube.com/watch?v=JPDpqrfHFhM
マルコ達が乗っている車内でかかっていた曲

Homezone - Digitalism
http://www.youtube.com/watch?v=fOd4Mw9efpo
店内でカロとマルコが抱擁しているシーンで流れていた曲

Fight The Start - The Kilians
http://www.youtube.com/watch?v=4pJHvnC-Auw
カロが、「ここに住む」とマルコに紹介する

Short Life Of Margott - The Kilians
cGrand Hotel van Cleef Musikverlag
http://www.youtube.com/watch?v=RVyTcnkoo7Y
夜。ベンガーが、明日の授業の資料を印刷中

Nightlite - Bonobo
http://www.youtube.com/watch?v=Doy3-A4Vric
喫茶店で、マルコがリーザにカロとの悩みを打ち明ける

Everything Is Under Control - Coldcut
http://www.youtube.com/watch?v=KrQcOmpbkCs
街中に“WAVE”のスプレーをかける生徒

Garden Of Growing Hearts - Empty Trash
http://www.youtube.com/watch?v=Nhyj18XLORI
“WAVE”のパーティ

Execution Song - Johnossi
http://www.youtube.com/watch?v=ggV9IGJGrcg
“WAVE”のパーティ。夜を迎え、飲み会になる

Rock + Roll Queen - The Subways
http://www.youtube.com/watch?v=rr6qBaLu7rI
壇上に立ち、「みんな集まれ」と叫ぶ少年

Tick Tick Boom - The Hives
http://www.youtube.com/watch?v=1M02bAWDFkI
“WAVE!”と、皆で叫ぶシーン

Was dich so verandert hat - Jan Plewka
http://www.youtube.com/watch?v=5mD-CKvpRoE
ED

残りは、サウンドトラックに収録されているらしいです(爆)。
YOUTUBEでは、見つかりませんでした…。