ある日どこかで

1980年/米
監督:
ヤノット・シュワルツ
原作:
リチャード・マシスン
主演: クリストファー・リーヴ/ジェーン・シーモア/クリストファー・プラマー 他


映画の劇作家であるリチャード。
処女作は好評らしく、囲み取材となっている。
その様子を遠巻きに眺めていた老婆が歩み寄り、リチャードに懐中時計を渡し、「──帰ってきて」と呟き去って行った。
数年度、人気劇作家となっていたリチャードは、多忙な日々を送っていたが、スランプに陥り、新作のイメージがまるで湧いてこなかった(一発屋になりそう‥‥
グランドホテルに一泊したリチャードだが、暇を持て余したため、ホテル内の歴史資料室に入り次回作のネタになるものはないものかとウロウロしていた。
その時、リチャードは額に掲げられていた女性に一目ぼれをするのである。
彼女の名は、エリーズ・マッケナ。
1912年に、一世を風靡した大人気女優であった。
会った事もない、大昔に亡くなったはずの女性にすっかり心を奪われたリチャードは、毎日のように彼女の姿を見に行くようになり、彼女の事をもっと知りたくて、彼女を古くから知る友人やホテルの支配人などに聞いて回り、聞けば聞くほど、彼女に対する愛が深まっていく。
彼女の顔を思い浮かべるたびに、涙があふれる。リチャードは、彼女に会いたいと思うようになっていった。
リチャードは、空想の夢物語と思っていた『タイムスリップ』が実現可能であると学者から聞くやいなや、当時の服装に着替えていざ時空の旅へ。
時空の超え方は、H.G.ウェルズのような、箱物に入るのではなく、“念”で超えるという。

そして──成功したタイムスリップ!
街を出ると、そこは1912年だったのだ。
リチャードはさっそくエリーズを探しに出かけ、執念の結果、彼女を見つけ出した。
大女優の彼女は、お目付け役であるロビンソンにいつも監視されているらしく、リチャードが彼女を見つけた時も、隣にいた。
小道を歩くエリーズとロビンソンを、後ろから尾行するリチャード(爆)。
じ〜っと、彼らの歩調に合わせてトボトボと尾けるリチャードは不審すぎて、ロビンソンはリチャードを『怪しい奴』と警戒する(当然だ)。
その後リチャードは、エリーズが部屋で独りの時を見計らい、彼女の部屋をノックして侵入しようとする。
「奇遇だね。僕と君はあそこで会ったよね」「いつ暇?今度会おうよ」「ぼくの事はリチャードと呼んで」
ビビったエリーズがドアを閉めようとするが、それを阻止。‥‥なかなか気持ちの悪い男である。
因みにリチャードを演じているのはクリストファー・リーヴで、あのスーパー・マンを演じた男である。彼も、透視能力で女性のパンティの色を言い当てるという気持ちの悪い男ではあったが、それと競っている(爆)。
リチャードはエリーズのことを色々調べあげて(怖)、エリーズの事をなんでも知っているが、エリーズにとってみれば、初対面でこの台詞を吐かれてドン引きである。
ロビンソンも更にリチャードを警戒するようになる。
しかしストーカーと化したリチャードは、これぐらいではめげなかった!
舞踏会では、エリーズは男性と踊っていたが、ソワソワと2人の背後を行ったり来たりしながら、良いタイミングで(?)男を押しのけてまでエリーズと踊ることに成功するのである。
リチャードの猛アタックに根負けし、付き合うことなったエリーズ。
実はエリーズも、リチャードの事が好きであった。でも、『好き』という気持ちを持ったことが無かったので、その感情が分からなかった。
モヤモヤした心の奥にある感情が『恋』だと、自分でも気づかなかった。でも‥‥やっと気付いた。
エリーズは、自身の舞台でリチャードも座る観客の前で、『台詞』という形で自分の思いのすべてを語りだした。
リチャードは、それが自分への愛のセリフであると知り、涙を流して、大勢の観客とともに拍手するのであった。

相思相愛になった2人は、結婚を誓い合い、将来について話し合っていた。
その時、ふとリチャードはポケットに違和感を覚え、中の物を取り出した。
それはコインで、『1979年』と書かれていた。
タイムトラベルを成功させる条件は、『未来の物を一切持ち込まない事』
そのコインを手にした瞬間、リチャードの体は暗い闇の底へと吸い込まれてしまうのであった──。

リチャードを『気持ちの悪い男』と表現したのは、あくまでも当管理人の主観です。物語は、『美しい愛の物語』として今もなおファンが多いです。
私のタイプは、ジェフ・ゴールドブラムやジェイソン・ステイサムのようなワイルドな男なので、リチャードがどうにもストーカーに見えてしまう‥‥。ごめんなさい



アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜

2013年/英・米
監督:リチャード・カーティス
音楽:ニック・レアード=クロウズ
主演:ドーナル・グリーソン/レイチェル・マクアダムス/ビル・ナイ 他


イギリス、コーンウォールに住むティムは、両親と叔父と妹と5人で暮らしていた。
21歳になった時、ティムは父より「一族の男にはタイムトラベルの能力がある」ことを聞かされる。
過去には行けるが未来には行けない。タイムトラベルを金や権力、名声のために使ってはならない。これさえ守れば何をしても良いと伝える。
最初は、そんなことはありえないと笑っていたティムだが、「だったら試してみろ」と言われて試したら‥‥本当にタイムトラベル出来ちゃった!!
過去にタイムトラベルしたからといっても過去の自分と対峙することはないので、『時間旅行』というよりは『時間を戻す』というのが合っている。

夏休みに、妹の友達であるシャーロットが泊まりにくることになり、ティムは一目ぼれしてしまう。
彼女が帰る前日に意を決して告白をしたのですが、シャーロットに「もっと早く告白してくれてたら付き合っていたかもね」と言われて振られてしまう。
だったら‥‥と、ティムはタイムトラベルして夏休みの途中に戻り、再度シャーロットに告白。すると今度は「最後の日まで待ってくれれば付き合っていたかもね」と言われてしまう(どっちもダメじゃん)。
結論は──脈なしということで、ティムは諦めた。

季節は移り、場所はロンドン。ティムは父の知り合いである脚本家ハリーの家でお世話になりながら、弁護士を目指して忙しい日々を送っている。
そんな中、1人の女性メアリーと出会い、彼女から電話番号を渡されたことで、それが後のティムの人生に大きな影響を与えることになる。

ティムが帰宅すると、ハリーがやたら怒っている。
ハリーが書いた脚本の舞台で、役者が台詞を忘れてしまったために、初演が大失敗に終わったというのである。
それを聞いたティムは、ハリーには日頃お世話になっているのもあるので、なんとかしたいと思った。
そこで過去に戻り、台詞を忘れた役者には舞台裏からカンペを見せることで、初舞台を成功に導くことができた。
ただ、過去と現在を行き来しすぎてしまって、メアリーと出会わない道を選んでしまった為、メアリーからもらった電話番号の紙がなくなってしまう。
再度、初めて会った時に戻るのも一つの手だが、そこまで過去に戻ったら、もう一度ハリーの初舞台を成功させるという面倒な事もしなくてはならない。
というわけで‥‥改めて出会い直すことに決めたティムは、初対面の会話の時にメアリーがケイト・モスの大ファンだと言っていたのを思い出し、ケイト・モスの展示会に行って彼女を見つけてアプローチ。
しかし‥‥なんとメアリーには既に恋人がいるではないか!!
予想外の出来事に焦ったティムは、メアリーと彼が出会わない過去を作り直すためにタイムトラベルしようと、「いつ出会った?どこで出会った?何時に出会った?」と細かく聞き出し(汗)、その時間のちょっと前にタイムトラベルしてメアリーを連れ出して、2人が出会わない現在にすり替えることに成功するのである(ずるい)。
そして、ティムとメアリーの仲は深まり、同棲するまでになっていく。
ティムはプロポーズし、ポージーという可愛い娘も生まれて、順風満帆
しかし‥‥ティムの妹は不幸続きの人生を送っていた。たとえ人生で失敗しても『気に入らなかったら戻ってやり直せばいい』ティムに対して、決して戻る事の出来ない妹は(それが普通だが‥‥)、人生の岐路の度に間違った選択をして不幸に陥ってしまったのである。
そして、更に飲酒運転で事故を起こしてしまい、ますます自暴自棄になっていく妹をみかねたティム。
妹が不幸に陥る原因は、チャラチャラして妹に取り入る彼氏が悪いとして、タイムトラベルをして妹が彼氏に出会う前まで遡った。
そして妹のために奮闘し、やることをやって現代に帰ってきたとき、実に奇妙なことが起きる。

自分のメアリーの間に生まれた娘が産まれておらず‥‥その代わりに、なぜか息子が産まれていたのである!!


挿入歌(紹介文については、歌が流れていた『場面』を指します)

All the Things She Said - t.A.T.u.
https://www.youtube.com/watch?v=8mGBaXPlri8
大晦日のパーティ

Push the Button - Sugababes
https://www.youtube.com/watch?v=oJDGcxAf9D8
ティムの妹が高い酒を飲んでジミーと乾杯した後のBGM

Mr. Brightside - The Killers
https://www.youtube.com/watch?v=gGdGFtwCNBE
ティムを誘い、テーブルごと酒瓶を倒すローリー

I Will Always Love You - Whitney Houston
https://www.youtube.com/watch?v=H9nPf7w7pDI
ハッピー・ニューイヤー!

At the River - Groove Armada
https://www.youtube.com/watch?v=t989-ukRYTY
シャーロットの背中に日焼け止めクリームをぶちまけるティム

Mid Air - Paul Buchanan
https://www.youtube.com/watch?v=7Q6iuW-P7xY
メアリーと別れるティム&ED2曲目

What's Your Flava? - Craig David
https://www.youtube.com/watch?v=XouvzxGfsbc
劇の上映後、いい場面で席を外したと笑うハリー

Friday I'm in Love - The Cure
https://www.youtube.com/watch?v=mGgMZpGYiy8
メアリーに会うため、ケイト・モス写真展に行くティム

Dilemma - Nelly featuring Kelly Rowland
https://www.youtube.com/watch?v=8WYHDfJDPDc
メアリーが彼氏を出逢わないよう、コートフィールド・ガーデン26番地へ…

How Long Will I Love You - Jon Boden
https://www.youtube.com/watch?v=iQop_qs4xV4
毎日のデート(自分だけ過去に戻りながら初SEX後のシーン)

Where Or When - Barbar Gough (vocals), Sagat Guirey (guitar), Andy Hamill (bass),
https://www.youtube.com/watch?v=qxbTAcVjGns
シャーロットの友人はレズだった

Il Mondo - Jimmy Fontana
https://www.youtube.com/watch?v=HFyCfFJC0no
ティムとメアリーの土砂降り結婚式

Petardu - Delorentos
https://www.youtube.com/watch?v=2te0QzNidr4
結婚式でスピーチで“愛している”と言うのを忘れて悔やむ父

Lived in Bars - Cat Power
https://www.youtube.com/watch?v=MVGgGW1ZalY
次はお前が結婚する番と従妹に言われたキット・カットだが、男運がないとぼやく

Gold in Them Hills - Ron Sexsmith
https://www.youtube.com/watch?v=ZGYAB9Rxrtg
同じ日を2回繰り返してみるティム

Into My Arms - Nick Cave & The Bad Seeds
https://www.youtube.com/watch?v=lEUgORVsECs
父のお葬式

The Luckiest - Ben Folds
https://www.youtube.com/watch?v=f9bRmuP-kQY
今のティムは、1日だって過去に戻らない

How Long Will I Love You - Jon Boden and Christoph Bauschinger
https://www.youtube.com/watch?v=aSgU0gNL2Ac
ED


君がぼくを見つけた日

2009年/米
監督:ロベルト・シュヴェンケ
脚本:ブルース・ジョエル・ルービン
主演:レイチェル・マクアダムス/エリック・バナ/ロン・リビングストン 他


ある日、母親と車でおでかけをしていたヘンリーは、突然自分の体が透けてしまい、母に助けを求めた。
母は、消滅したヘンリーの体に驚愕し、ハンドル操作を誤り、交通事故で亡くなってしまう。
一瞬の消滅の後、その場に舞い戻ったヘンリーが目にしたものは‥‥炎に包まれる母の姿であった。
炎の中に駆け出そうとするヘンリーを羽交い絞めにした止めた人物がいる。それは、成長したヘンリー本人であった。
「僕は未来の君だよ」と優しくヘンリーを抱き、これから数えきれないほどのタイムトラベルをするうちに、またいつか母に会えるから──と慰めたのだった。
タイムトラベル物では禁忌とされる“自分と出会う”シーンですが、敢えて共演させたらしい。

ヘンリーは、タイムトラベラー(時間旅行者)だった。
はたから聞くと羨ましいが、困ったことに、行先も、日時も自分でコントロールできない!
歩いてる最中だろうが、食べてる最中だろうが、自分の意志とは関係なしにタイムトラベルしてしまうので、車の運転はできない。
タイムトラベル時には身一つ。身に纏っている服を持ち込めないので、常に金欠である。‥‥羨ましくない。
唯一の救いは、服を盗んで警察に見つかっても、すぐにまたタイムトラベルをしてしまうので、逮捕はされないということである

そんなヘンリーはある日、1人の女性クレアに告白される。
見知らぬ女性に告白されたヘンリーだが、クレアはヘンリーを知っていて、「わたしは未来のあなたと、何度も会っていますよ」と告げた。
ヘンリーは、こんな面倒くさい『タイムトラベル男』は恋愛には縁遠いと思っていたが、全てを受け入れ、それでも自分を好きだと言ってくれるクレアに惹かれた。
一緒に食事をしながらクレアは、最初にヘンリーと会ったのは自宅の庭だと言い、その後、ここで会った‥‥あそこで会った‥‥と、未来の自分のことまで逐一放してくれた。

ヘンリーとクレアは付き合いはじめるが、クレアはなんとなくイライラ。
というのも、クレアが何度も会っていたヘンリーは中年男性で、凛々しくて知的で落ち着いて物静かな頼れる男性なのだ。
一方このヘンリーは、若くてやんちゃで落ち着きが無い──(そんな事言われても‥‥可哀そうだ)。
同じ人なのはわかっているが、クレアは理想と現実のギャップに戸惑った。
しかし、中年男性のヘンリーの物腰は、自分に出逢ったことで育まれたものだと理解したクレアは、ヘンリーに愛を注いだ。

そして2人が結婚を匂わせはじめた時、クレアの友人であるゴメスが、ヘンリーがタイムトラベラーであることを知ってしまう。
そのことを知ったゴメスは、あんな奇妙な奴はやめろとクレアに伝えるが、クレアは、タイムトラベル体質はヘンリーのせいではないといわれてしまう‥。
ゴメスは、2人の間に確固たる絆があることを確認し、しぶしぶ2人の結婚を祝福した。

さて、夢の結婚生活!のはずだったのですが、ヘンリーのタイムトラベル止まらないどころか、むしろ頻度が多くなってしまう。
クリスマスも、お正月も、タイムトラベル!
クレアが一生懸命〜作った料理を運んでいる最中にもタイムトラベルが起き、料理は皿ごと床に落ちて全部パアである
例えヘンリーのせいじゃないと分かっていても、さすがにクレアも怒れてくるのである。

ケンカをしながら仲直りしながら、ある日、クレアは妊娠をした。
しかし、流産をしてしまう‥‥というか、いつのまにか胎児が消えてしまっているのである。
原因はもちろんヘンリーにあり、それはヘンリーのタイムトラベルが遺伝しているという事実であった。
今度こそは──と願いをかけて妊娠するも、次に授かった赤ん坊も再び流産してしまう。
これには、さすがのクレアも参ってしまうのである。

ヘンリーのタイムトラベル体質は、毎度毎度クレアを悩ませますが‥‥子どもの頃から、なんとなく気になっていたことがある。
それを、本人の前で言っていいものかと悩んだクレアだが、意を決してヘンリーに伝えると、途端にヘンリーが凍りついた。
私はなんども貴方に出逢い、恋に落ちたわ。貴方の姿は、決まって30〜40代。

ねぇ不思議だと思わない?私‥‥年老いた貴方に出逢った事が、一度もないのよ。

遠まわしでも、なんとなく察しはついてしまい、こんな事言われたら絶対嫌だ〜
50代以降のヘンリーは、一度もクレアの前に姿を現していない。それは何を意味するのか──。
自分の死期と死に方を知った時、果たして人は平常心でいられるのか?
未来を変えたいと思うか、受け入れてその日を待つか、愛する人のために何かを遺そうとするか。

ヘンリーが注ぐ無償の愛に、ラストは涙がこぼれます。



挿入歌(紹介文については、歌が流れていた『場面』を指します)

Es ist ein Ros entsprungen
https://www.youtube.com/watch?v=Ru0JYOBre7Y
映画の軸となる曲で、主に人生の節目に流れる。

Jingle Bells
https://www.youtube.com/watch?v=apmf0jCWM-w
ヘンリーと母が一緒に歌った歌

Love Will Tear Us Apart - Broken Social Scene
https://www.youtube.com/watch?v=z5PcW0kguCM
結婚式のダンスパーティ

Gone to Earth - American Analog Set
https://www.youtube.com/watch?v=rzQujZJLXQs
引っ越し後の新婚生活