トロイ

2004年/米
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
原作:デヴィッド・ベニオフ
主演:ブラッド・ピット/エリック・バナ/オーランド・ブルーム他


古代ギリシア。
スパルタの王メネラウスは、トロイの王子ヘクトルと、長年にわたって続いている戦を終わらせるため、和平の道を探っていた。
そこで、和平を結ぶため、宴を開くこととなる。
両国の王が、民のためにこの戦を終わらせるにはどうしたらいいか──と策を練り、和平への道を模索している最中に、ヘクトルの弟であるバリスが、よりによって敵国の王メネラウスの妻ヘレンに一目ぼれ(不倫)してしまう。
ヘレンは、メネラウスという夫がいながらバリスの愛に応えてしまい、メネラウスとヘクトルが和平交渉をしている隙に駆け落ちして宮殿を去り駆け落ちしてしまう。
怒ったメネラウスは(そりゃ誰でも怒るわ😠)、ヘクトルとの和解交渉はあっさりと決裂。
あれほど、どうしてここまでの戦になったのか?どうしたら両国の戦を終わらせることができるか──とあれほど2人で考えていたのに、『戦を終わらせる必要はない』とメネラウスは断言。
むしろ、スパルタ側はトロイと戦争する“理由がある”必要だから戦争しているんだ──と言わしめてしまう。
スパルタは、トロイを攻め陥落させる正当な理由を得たのである。
メネラウスの兄アガメヌノンは、前からトロイが気にくわず、いつかは滅ぼしてやろうと思っていたこと。そのため、この不倫はトロイを倒す“正当な理由”が出来たため、戦に加わることになった。
兄の妻が、トロイ王子の弟に不倫されて心に傷を負った!だからトロイ王子が憎い!王子憎けりゃ国も憎い!‥‥強引だが正当な理由だ。
そのアガメヌノン軍の中に、作品の中核を担う人物──アキレスがいたのである。
演じるのはブラッドピット。
ざんばら髪をなびかせて、砂埃の舞う乾いた大地をさっそうと駆け抜ける──かっこいい💓
・トロイに到着したスパルタ軍は、アポロ神殿を略奪。
巫女を捕らえるのだが、その巫女を捕らえたのはアキレス。ってことは、アキレスの手柄であり、当然アキレスの戦利品になるのが筋なのだが、アガメヌノンが横取りしてしまい‥‥軍内で綻びというか、亀裂が生まれつつあった。
軍のために戦っているのに評価されない。勝っても戦利品をもらえず報われない。
アキレスは戦意を喪失し、投げやりに戦を進めていき、軍は統制が保てなくなってしまい、トロイ勢に押されていくことになる。
兵士の人望と尊敬を一心に受けるほどの人情の厚いアキレスは、“軍の要”となるほどの人物であり、そのアキレスが戦意を喪失した事実は、末端の兵士のやる気も失わせたのである。
※↑“軍の要”=“人体の要”。因みに『アキレス腱』は、彼が語源となっている。
・妻を奪ったバリスに、メネラウスは決闘を申し込み、バリスはその決闘を受け、1対1で正々堂々と戦うこととなった。
一騎打ち‥‥誰も手を出してはいけない戦いだった。
戦いはメネラウスが優勢で、バリスは窮地に追い込まれてしまう。
バリスが劣勢であり、殺されることを恐れたバリスの兄ヘクトルは、ついバリスを助けてしまい、決闘の掟を破ってしまう。
ヘクトルは、この戦いで兵士を奮い立たせて先導したアキレスを殺そうとするが、誤って別の人間を殺してしまう。
その男はアキレスを慕い、アキレスも信頼を寄せるほどの者だった。
アキレスは殺意に震えヘクトルに復讐し、戦利品としてヘクトルの遺体を持ちかえった
しかしその後、ヘクトルを慕っていた兵士達から、「ヘクトルの遺体を返してほしい」と懇願されることになる。
ヘクトルは自分の親友を殺し、この戦の首謀者となる男だった。しかし‥‥そんな彼であっても、他者に慕われるような存在だったのである。
アキレスは、あの時は怒りに任せてヘクトルを殺して遺体を戦利品として持ち帰ったが‥‥兵士たちの言葉に心を打たれ、遺体を返してやったのである。
・どうやったら、この戦を終わらせられるだろう?どうすればトロイをせん滅させられるだろう。
そんな時、オデッセイという男があるアイデアを思いついた。
巨大な木馬を作り、トロイに贈答品として献上しようではないか。一見すると、ただの木馬だ。しかし、その中には実は──。

PCウイルスで有名になった『トロイの木馬』の語源です。
一見すると、ただの変哲の無いファイル。しかし、ある時間になると──。
こっちの方が実害がありすぎて有名ですね(-_-;)

ギリシャ神話を、可能な限り映像化した作品だと思います。
神話の人物を、”人間”と表現しているので、やは無理やり感はありますが💧
人物名がややこしいので、元を正せば不倫による愛憎劇。人物相関図がないと、分かりにくいかもしれません。


挿入歌(紹介文については、歌が流れていた『場面』を指します)

Josh Groban and Tanja Tzarovska - Remember Me
https://www.youtube.com/watch?v=ZxfcWMhdP1A
ED


シザーハンズ

1990年/米
監督:ティム・バートン
音楽:ダニー・エルフマン
主演:ジョニー・デップ/ウィノナ・ライダー/ダイアン・ウィースト 他


昔、街外れの城に発明家の老人が住んでいた。あらかたの物を作りだしていた彼は、ついに人造人間のエドワードを造ってしまったのである。
※こんな事言っちゃ身も蓋もないが、『クッキー製造機』の出来は──個人的にはいまいちの気がする💧
ハサミの手を両手に持つエドワード。ある日、ついに待ちに待った人間の手が完成し、さぁ付けよう!とした瞬間、なんと発明家が心臓発作で他界してしまう。
エドワードは、両手がハサミのまま‥‥一人取り残されてしまったのであった。

パステルカラーの家が並ぶ街。化粧品の訪問販売をしているペグは、友人知人に化粧品を売りつけようとしたが売れずに煙たがられていた。
困ったペグは、もはや買ってくれるなら誰でも‥‥と、ついに街はずれの城に売りつけようとする
ペグは、はさみの手を持つエドワードに出会い、彼を不憫におもって我が家へと連れて帰った。
エドワードは食事さえままならない(こんな状態でどうやって今まで生活してたんだ?)。
やっとこさグリーンピースを1粒ハサミに乗せ口へ運ぶが──落としてしまう(固唾をのんで見守っているビルの顔が面白い)。
‥‥もういいから、ニンジンをハサミにぶっ刺して食べなよ。

そんなエドワードには特技があり、彼の噂を聞いた近隣住人は、次々にエドワードに植木の剪定を頼み、
植木のみならず、ペットのトリミング、ヘアカットと、たちまちエドワードは有名となっていった。

ある夜、エドワードはジムに利用され、ジム宅で窃盗行為を働き、逮捕されてしまう。
弁護士は「育った環境のせいで善悪の区別が無い」として、エドワードを無罪放免とする。
しかし警官は、『善悪の区別が無いなら、わざわざ深夜に侵入する必要は無いはず』だろうと‥‥彼が誰かにハメられたのだと悟った。
エドワードは侵入した家がジムの家だと知っていた。しかし恋するキムの頼みだから承諾したのだという。
※キムにお願い‥‥。一言で良いからエドワードに謝ってあげてくれないか。

周囲の人々は、まるで手のひらを返したように、一転して彼を非難して避けるようになった。
一方キムは、エドワードの優しさに惹かれて、彼を護りたいと思うようになっていった。
※キム‥‥本当にエドワードを護りたいのなら、エドワードが無実であると一言で良いから言ってくれないか?その一言でエドワードは救われるだろうに‥‥。

作品の世界観は“現実と虚構”『“交わることのない”相反する2つの世界の共存』を描いているため、ペグの住む街並みはカラフルなパステルカラーで、車も人もパステルカラー。
撮影の為、居住者の許可を得て外壁内壁が塗り替えられている(アングルによってはミニチュアセット)。
そんな街並みの中で、白黒‥‥“モノクロ”のエドワードの異様さが“引き立つ”仕組みとなっている。

住民は、最初は散々もてはやし、アッサリ手のひらを反して非難する酷いものだが、ペグやキムも、必ずしも善人とはいえない。
ペグはエドワードが“可哀想だから”という上から目線で自宅に招いておきながら、彼が危機に陥ると「やっぱり帰るべきだ」と保護者役を放棄。
キムも必死に守ろうとしているが、元々エドワードが非難されているのは窃盗の件であると知っていながら、彼が“冤罪”であり、自分とジムが犯人だとは言わない。結局ラストまで言わなかった
この中で唯一の善人は、警官であった。

この物語は、哲学者アルトゥル・ショーペンハウアーの寓話を元にしているため、『集団心理』『理不尽』などの重苦しい表現が多々あります(確かに腹が立つほど街の住民が憎らしい時も)。
因みにこの寓話は、『ヤマアラシのジレンマ』として有名です。
更には、『フランケンシュタイン』の映画のオマージュでもあり、一層ドロドロというかやりきれない描写が目立つ。

そもそも発明家が、エドワードにハサミの手を持たせたのが悪い❗どうして最初から人間の手にしなかったのか──。
映画では謎のまま終了するが、舞台版では『ハサミの手だった理由』が明かされている。

因みに、この映画はジョニー・デップの出世作になり、監督のティム・バートンはジョニーの演技に大変感銘を受け、その後の自分の作品には、まずジョニー・デップにオファーをかけるほどになった。
ジョニー・デップもティム・バートンの作品には大変感銘を受けていた為、この映画を境に2人はタッグを組むことになります。


挿入歌(紹介文については、歌が流れていた『場面』を指します)

IT'S NOT UNUSUAL - Tom Jones
https://www.youtube.com/watch?v=yca2BCwAnBQ
ジョイスにレモネードを飲まないかと誘われて吐くエドワード

WITH THESE HANDS - Tom Jones
https://www.youtube.com/watch?v=OE3K-mi2LUw
美容院で、エドワードを押し倒すジョイス

We Three Kings
https://www.youtube.com/watch?v=a8XKEvClA-k
ジムが屋根の上で歌っていた歌 Part1

I Saw Three Ships
https://www.youtube.com/watch?v=C5LROczmJHg
ジムが屋根の上で歌っていた歌 Part2



魔法にかけられて

2007年/米
監督:ケヴィン・リマ
音楽:アラン・メンケン
主演:エイミー・アダムス/パトリック・デンプシー/ジェームズ・マースデン 他


ジゼルは、いつか王子様と出会い、結婚するのを夢見ていた。
毎日トロール狩りに明け暮れる王子もまた、いつか愛しい女性と出会うのを夢見ていた。
王子が歌を歌うと、どこからか美しい女性の歌声が聞こえてくる。
鈴の音のような歌声に、王子は馬を駆って探しに行き──ジゼルを見つけ、歌を返した。

ディズニーが、過去の自己作を“切り貼り”した作品(ディズニー曰く『自己パロディ』)。
ジゼルの歌には、『白雪姫』『シンデレラ』『眠りの森の美女』が盛り込まれている。
王子が歌に聞き惚れ女性を探し、歌を返す場面は、『白雪姫』のワンシーンでもあるかわいい
美しいジゼルに感動した王子は、「明日にでも結婚式を挙げよう!」
王子は、喜ぶジゼルを馬に乗せて城へ向かってゆく。←因みにこの二人は初対面であるたらーっ(汗)

結婚式の為、城へ向かうジゼルは、変なおばあさんにとっ捕まる。「『願いが叶う井戸』があるからおいで」と誘われ、井戸の中へと放り込まれて‥‥たどり着いたは、見たことも無い世界だった(正確には、ニューヨーク)。
絵本から抜け出たようなジゼルの衣装に、一人の少女(モーガン)は興味を持ち、「なんか困ってる。助けてあげて」と父ロバートに懇願する。
ロバートは、正直関わりたくなかったが、娘の目もある為、彼女を家へと招いた。

翌朝、ジゼルはロバート家の汚さにビックリ。
ジゼルは街から小動物を呼び出し、掃除を手伝ってもらうんだけど‥‥ハト、ねずみ、蝿、ゴキブリどんっ(衝撃)風呂の排水溝からゴキブリがざわざわとわくシーンは、思わず吐きそうがく〜(落胆した顔)

変なジゼルを追い出したいロバート(笑)は、「バスでも電車でも飛行機でも何でも乗せてやるから出てってくれ」と嘆く。
するとジゼルは満面の笑みを浮かべて、「お城に行きたい。王子様と結婚式を挙げるのぴかぴか(新しい)
この期に及んでまだ言うか‥‥と呆れるロバートだが、正直、もうどうでもいい。
「だったら王子に電話して迎えに来てもらいなさい」と金を押し付けた。
ジゼルは、手荒なロバートに怒る事も無く──「あなた、とても親切だったわ。ありがとう」
そう言われてしまうと、かなり罪悪感が残るロバート。気になって後ろを振り返ると‥‥ジゼルは“その金”を見知らぬ人に渡し、王子の行き先を聞いていた(爆)。
ロバートは、慌ててジゼルの手を引き、公園を歩いた。
ジゼルの言う『王子』がどんな人物なのか、ロバートは気になって、尋ねてみた。
するとジゼルは────何と「知らない」というではないか。
「昨日、会ったばかり」と言うジゼルに、「嘘だろ。たった1日会っただけで結婚するのか?」

さて肝心の王子だが、ジゼルを救う為、ちゃんとディズニー世界からニューヨークにやってきていた。
王家のご子息様で、顔良し!スタイル良し!性格良し!ただ1つの欠点は‥‥バカだということである。
従者のナサニエルもディズニー世界からやってきて、彼にしっかりと付き添っている。
王子はおバカな為に、ナサニエルに“真の企み”があることに、全く気づいていなかった。

ジゼルはロバートと話をするたびに、新鮮なものを感じた。
ロバートが何を考えているのか分からないから、彼の立場に立って行動しなければならない。
彼は何を思っているのかしら?彼の立場に立って何かを考える事が、とても楽しかった。
しかし彼を知るたびに不満が募る。ロバートは、ジゼルの考えに常に“否定的”なのだ──。
現実主義者ロバートの職業は『離婚弁護士』。娘の誕生日に偉人伝をプレゼントする程たらーっ(汗)、彼は夢物語が大嫌い。
「ある日ね、ふと目が覚めるんだ。あぁ、これが“現実”なんだ‥‥と
「もし君が待つ王子が来なかったらどうする?来なかった時の事も考えないといけない」
いつもマイナス思考、凹む発言を散々聞かされ、ついにジゼルの怒りが大爆発爆弾

「どうしてそんな事ばかり言うのよ!?」

ジゼルは、せきを切ったように怒り続けた。怒るだけ怒っておいて‥‥初めて怒って、熱くなった自身の感情に感動し、「私、とっても素敵な気分だわるんるん」。
ロバートは、頭にハテナマークを乗せ‥‥深くため息を吐いた(──疲れるねぇロバート(笑))。

次の日、ジゼルはロバートをまともに見ることが出来なかった。
ロバートを見るたびドキドキするのである揺れるハート
ジゼル達が朝食を食べようと席につくと、“場”をぶち壊すかのように、家のチャイムが鳴り響いた。

「おぉ〜愛しのジゼル!僕の運命の人!いたら返事をしてくれ!」

王子様が迎えに来てくれた!この日をずっと待っていた!‥‥はず──────だけど???
「どうしよう‥‥」と、ジゼルは小さく呟いていた。

王子役を演じたジェームズ・マースデン。彼は日本の一部のファンから、『東幹久』と呼ばれている(ヒロインをかけて競り合うと、高確率でフラれる)。
さて、王子はジゼルをディズニー世界に連れて帰ることが出来るのか!?

物語後半では、魔女が現れ、ジゼルを殺す為に呪いをかけたり、過去のディズニー映画のワンシーンを切り取ったような戦闘シーンが登場します。
ジゼルはロバートから、ロバートはジゼルから、それぞれに学ぶことが沢山有る。
王子と魔女の間で彷徨うナサニエルも、自分を慕う王子を騙す行為の罪悪感に苛まれ、次第に葛藤してゆく。3人の心の成長を描く人間ドラマとしても、とても面白い作品です。

ロバート役を演じるパトリック・デンプシーですが、アウトブレイクではサルを密輸し山に放つという‥‥最悪な男・ジンボを演じていたが‥‥今回は雰囲気がガラッと変わって、渋くて素敵揺れるハート

挿入歌

Carrie Underwood - Ever Ever After
http://www.youtube.com/watch?v=ikuiewliF3Y
ED曲